曲名 種別 季節 人数 所要時間
清水 しみず 鬼山伏狂言(小名狂言) なし 2人 約23分
あらすじ
秘蔵の桶を預かり、清水へ水を汲みに行くよう命じられる太郎冠者…。 面倒に思った太郎冠者は、鬼に襲われたふりをして帰宅します。 鬼に襲われた現実感を出す為、桶を置いてきてしまったのが災い…嘘が嘘を呼びます…。 桶を惜しがる主人が、清水へ出かけてしまうのです…。 嘘がバレてはいけないと、太郎冠者は先回り…鬼に化けて主人を脅します…。 狂言面=不悪(ぶあく)を使用。

七つ下がって清水へ参れば 元興寺が出るとやら申しまする…
   イヤここな者が それは女童のたらしごとに言ふ事じゃ

登場人物
一. 太郎冠者(シテ) 主人に使える一番目の召使い。冠者とは、元服(成人)した者ですが、その身分は下人階級です。庶民的立場から、様々な曲に登場する狂言の代表キャラクターです。
ニ. 主人(アド) 太郎冠者(主役)の主人に当たる役柄。大名より位の低い小名です。
わかりやすい用語解説

《清水の解説補足》 <元興寺の伝説> 敏達天皇の時代…六世紀後半の頃…奈良県飛鳥…蘇我馬子が建てたと言われる元興寺の鐘つき堂に、妖怪がいるという噂があった。鐘をつきにいった童子が夜毎、かならず死ぬというのである。ここに登場する妖怪が、狂言「清水」の台詞に登場する鬼の代表《妖怪元興寺=がごぜ》ですが、ある童子によって退治された出来事が伝説になっています…。
 愛知県のある里…一人の農夫が働いていると、突然の雷雨となり、落ちた雷が、童(わらべ)の姿となって男の前に現われる。驚いた男は持っていた金杖で突き殺そうとしたが、「許してくれれば望みを叶える」と言うので、子に恵まれない男は、子供を授かる約束をする…。するとやがて農夫の妻は約束通り男子を産み、この子が後に《がごぜ》を退治する怪力童子へと成長する…。
十歳程になった頃、童子は、その評判を、朝廷に届かせる程の力自慢となっていた…。ある日…朝廷に招かれ、力だめしをして見せると、「その怪力をもって妖怪を退治してくれ」との事から、元興寺の童子となる。怪力童子が堂に隠れ、夜更けを待つ…やがて妖怪が現れ…童子に気づき、逃げようとする…しかし童子はこれを捕まえ…イヤ…頭髪をむんずと引っぱった…。妖怪は頭皮と髪を残し逃げ去るが…以来姿を見せなくなったと言う…。暗がりで正体をつきつめる事は出来なかったものの、翌日、血の後を辿って行くと、寺で悪事を働いた者を葬る場所に消えていたので、妖怪は、その霊鬼であったと判明した…。残していったこの頭髪は今も元興寺に保管されており「日本霊異記」にも書き記されているが、妖怪の始まりだとされており、狂言の時代には最も有名な妖怪(鬼)であったと推測する事が出来る。

テンガオサマリメデタイミヨ→天下治まり目出度い御代=平和な世。

オチャノユ→お茶の湯=お客を招き御茶をたててすすめる。

ミョウニッタ→明日は。

モウシイリョウ→申し入よう=招こう。

チャワミズガセンジャ→茶は水が先じゃ。

ヤナギノミズ→柳の水=「道のべに清水流るる柳かげしばしとてこそ立ちどまりつれ」による?新古今集(西行)

サメガイ→醒ケ井=京都五篠の南に有。

タイギナガラ→大義ながら=御苦労だが。

モハヤナナツサガッテゴザル→最早七ツ下ツて御座る=夕刻(七つ下がり)。

ガゴゼガズル→元興寺が出る=鬼が出る。(参照:妖怪元興寺)

オンナワラベノタラシゴト→女童のたらし事=女子供の騙し事。

ムネノダクメキ→胸のだくめき=胸のドキドキ。

イカメノオニ→いかめの鬼=厳めしい鬼。

ブヘンダテ→武辺達=腕自慢。

イデクラオウ→出喰らふ=さぁ喰おう。

フリュウノオモテ→風流の面=趣のある面。

カヤ→蚊帳=蚊を防ぐ為、寝床を覆う物。

オズル→おずる=怯える。

シンルイ→親類=親戚。

タノウダオカタ→頼うだ御方=主人。

1ドノコリセデ2ドノシヲトグル→一度の懲りせで二度の死ヲ遂ぐる=一度で懲りぬ者は二度目は死を遂げる。

タソ→誰そ=誰か。

ヤルマイゾ→やるまいぞ=逃がさんぞ。

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